Believe
喪失
……………私は何故此処にいる?
目を覚ませば、私は見知らぬ部屋にいた。
先程何があったか……
考えてみても何も思い浮かばない。
頭が真っ白になる。
――鼻を突く薬の臭い…子供の泣き叫ぶ声…
それらから私は此処は病院なのだと理解した。
何故?
何故私は病院にいる?
いくら考えても出てこない答えに、私は少し苛々してきた。
何も、分からないのだ。
自分も、家族も友人も…
何もかも。
少しこの部屋を出てみよう。
何か分かるかもしれない。
そう考えた私は身体を動かした……
「っ!!」
筈だった
何とも言えない激痛が私を襲う。
声にならない悲鳴をあげながら、必死に痛みに耐えた。
一体私の身に何が起こったというのだ。
身体をよく見てみれば、体中傷まみれだった。
切り傷、刺し傷、擦り傷…
どこもかしこも包帯だらけ。
いい加減、自分の身体を見るのが嫌になった私は外を見たくなり、窓の方を向いたが、カーテンが閉まっている。
空、見たかったな…
少し残念に思いながらも私は目を閉じた。