アリスのいた街
12年前
12年前。
俺は5歳だった。
俺の名前は、ユウリ。
うちの父は起業家。しかも、その企業が大成功したために大富豪。昔から、欲しいものは何もかも手に入った。
だけど、5歳の頃から会社を継ぐという重圧をかけられていた俺は、耐えきれなくなり逃げ出した。
理由はそれだけではない。
親からの愛が、自分にはないような気がしたから。
顔を合わせると、勉強、会社、相続。
そんな話しかしない両親に対して、俺は疑問以外何も浮かばなかった。
金で買えない愛が、俺は一番欲しかったんだ。
だから、俺は逃げ出した。
この家から逃げ出した。
走って走って走って。
体力の続く限り走って。
気付けば、辺りは真っ暗になっていた。
街灯も、人も、何もない。
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