SEVEN WINGS
「お、目ぇ覚めたか。体の具合はどうだ?」
 部屋を出ると白衣を着たおじさんが話しかけてきた。たぶん医者だろう。
「え? あぁ、まだ痛みますけど、だいぶ楽になりました。ありがとうございます」
 そう言うと、おじさんはうれしそうに笑って、肩をぽんぽんと叩いてきた。正直、まだ痛いんだけど……と顔をひきつらせていると「すまん」と離れてくれた。
「そういえば、ティア、知りません? 髪が水色の女の子で、僕と一緒に街に来たんですけど」
「ああ、あの小娘か。それなら「先に行っとこう」って、言ってどっか行っちまったよ。それより飯食うか? ずっと寝てたから腹もすいてるだろう?」
「いいんですか? ちょうどおなかすいてて……」
「じゃあ、決まりだな。すぐ準備するから待っとけ。怪我人はおとなしくそこに座っておけよ」
 そう言って、医者はどこかに行こうとする。
「え? でも、それじゃ、迷惑ですし」
「いいってことよ。怪我人に仕事なんて医者の恥だからな」
 どう言っても、引き下がらなそうなので、正直、根負けする。
「分かりました。本当にありがとうございます」

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