SEVEN WINGS
※・※・※

「これとこれ。あと、それも」
 どんどん商品を指定していくティア。
「もう持てないんだけど……」
 リュックと手持ちの鞄。両方ともいっぱいな上に、たくさんの袋も持っている。流石に、これ以上は……。
「え? じゃあ、なんかコンパクトにするものってあったかな?」
 コンパクト? なんかあったような。たしか……。
「……そうだ! あれじゃない?」
 そう言って、店先に並ぶ一つのビンをどうにか指さす。
「うん。だね! これくださーい」
 ティアは早速そのビンを買い、僕が持っていた、荷物に中の液体を振り掛ける。すると、すぐに商品は小さくなる。
「よし。……で、これどうやって戻すんだった?」
 小さくするのは見たことあるけど、もとに戻すところは、見たことない。素直な疑問を投げかけただけなのに、ティアは心底呆れた顔をしている。
「ハァ……。水をかけるんだよ」
「そうなんだ……」
 ホントは、パンとか水をかけても大丈夫なのかって聞こうと思ったけど、また、呆れるだろうから黙っていた。
 それから、買い物はどんどんエスカレート。ティアが満足してくれるまでに、数時間かかった。
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