カサブタ。

「外の空気が吸いたいんだけど、連れていってくれる?」

そう言った彼の魂が、

ほんのり甘い香りをのせた。



これが好意なのか、
私の能力にたいする好奇心なのかはわからない。



けれど、

こんなにもいい香りのしてくる魂の揺らぎは始めてだった。



だから、私は

「別にいいけど。」

と、素っ気ない口をきくのだ。



どんどん流されてしまうから。


この人を好きになった気になってしまうから。




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