カサブタ。
「波瀾万丈だったのに、綺麗な心に育ってよかった。」
彼は言った。
”キレイな心”
彼の言う
その言葉は重い。
それに、
見た目を誉められるよりよっぽど嬉しい。
不覚にも火照った頬が熱くて、
思わず目をそらした。
彼は面白そうにクスクスと笑った。
「君の事、好きになりそうだ。」
彼はそう言った。
魂に、
不安と期待と、
それからあのいい香りが強く混じった。
圧倒的な力で私を包み込んで離さないこの魂が、
揺らぐのを見るのは新鮮で。
高鳴ってしまっている鼓動と、
恋した時独特の浮遊感を感じている自分が少し悔しかった。
”だからうまくいかないったら”
と、心の中で誰かが言った。