カサブタ。

しばらく走ったところで気付いた。

このまま、
この車に乗っていると、
私は自動的に彼の家に運ばれてしまうのではないだろうか。


「そうだろうね。」


と、彼は言った。


彼を見ると、
彼はチラとこちらに目を向けた。


「別に何もしないよ。」


そう言われて、
私は何と答えればいいのだろう。


なにかされたいわけでは無いのだけれど、

そこまでキッパリ言われた上に、

魂のもやにさえそういう欲がちっとも見えないとなると、

何となく女としてのプライドが傷つけられている気がする。


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