カサブタ。


車が止まった。


信号が、
黄色から赤に変わる。


強い甘い、

優しいのにちょっと強引な魂が、

私の体を包み込んでいた。



彼が側にいる時、
私は外界から遮断される。


無理矢理狭い空間に押し込まれているのに、
それが心地いいと思っている。



流されてしまう。



どうにも止められない。

なのに、
最後の扉を開こうとすると、
愛してもいないあの男の顔がよぎるのだ。


< 55 / 60 >

この作品をシェア

pagetop