王子と秘密の甘い時間。
「あれ、愛実ちゃん?」
俺の視線の先の人物が分かったのか、純弥は愛実を食い入るように見ている。
「ってか、愛実ちゃんと一緒にいる男、めっちゃイケメンじゃん。」
純弥がボソッと呟く。
男から、アップルパイらしきものを食べさせてもらっている愛実。
カップルのような、雰囲気だった。
「……ねぇ、」
それを見た純弥が口を開く。
「……。」
「あのふたり、付き合ってるのかな。」
「知るか。」
店を出て男とどこかへ行く愛実の後ろ姿を、
俺は見えなくなるまで見ていた。