王子と秘密の甘い時間。


「あれ、お兄ちゃんだよ。」


愛実は、ハッキリと、そう言った。





「……はッ?!」


俺は素っ頓狂な声を上げる。


「それ、まじ?」

「うん。」

「でも……、」

「でも??」

「アップルパイ。」


いかにもカップルのようなことをしていた。


「お兄ちゃんのアップルパイ一口もらっただけだけど……。」


普通に答える愛実に、


「はぁー…。マジかよ。」


力が抜けるのが分かった。



すると、










「私ね、慧斗が好き。」


愛実がそう言ったのが聞こえた。


< 151 / 285 >

この作品をシェア

pagetop