王子と秘密の甘い時間。
「あれ、お兄ちゃんだよ。」
愛実は、ハッキリと、そう言った。
「……はッ?!」
俺は素っ頓狂な声を上げる。
「それ、まじ?」
「うん。」
「でも……、」
「でも??」
「アップルパイ。」
いかにもカップルのようなことをしていた。
「お兄ちゃんのアップルパイ一口もらっただけだけど……。」
普通に答える愛実に、
「はぁー…。マジかよ。」
力が抜けるのが分かった。
すると、
「私ね、慧斗が好き。」
愛実がそう言ったのが聞こえた。