王子と秘密の甘い時間。
やだ……、
聞きたくない……。
「慧斗、嫌だ……。」
「事実を言ったまでだろ。」
「けぃッ、」
「俺らは、ここで終わりだ。」
残酷な言葉が耳に響く。
「じゃあな。」
慧斗の後ろ姿が離れていく。
追いかけたいのに、足が動かない。
私はその場にしゃがみこんだ。
「ッ、く……ぅっ、」
「愛実……。」
名前を呼ばれて振り向くと、優しい香りに包まれた。
「ふ……ッぅ、麻奈…ッ!!」
私は麻奈に抱きついて、これまでにないくらい泣いた。