王子と秘密の甘い時間。


昨日の放課後、愛実は家に来なかった。

……当たり前なんだろうけど。


「佐野さんも、おはよう。」

「ぁ…、おはよう……。」


愛実は一瞬驚いた顔をしたあと、微笑んで、挨拶を返した。


俺は愛実をじっと見る。


「……何か?」


愛実は俺が何を考えているのか分かったのか、気まずそうに顔ごと反らす。


「佐野さん、寝不足でしょう。」


俺がそう言うと、
愛実の肩がビクッと上がった。


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