王子と秘密の甘い時間。


愛実の目の下にほんのり影がある。

クラスの連中が気づかないほどの薄い影。


愛実が顔を上げると、


「バレてた…。」


と、小さく呟いていた。


「佐野さ……」

「佐野ちゃーん♪」


愛実に話しかけようとしたとき、坂倉が教室に入ってきた。


「ぁ、雪ちゃん!!」

「だーかーら!!」

「どうしたの?」

「なんとなく来てみた!!」


ニカッと笑う坂倉につられて微笑む愛実。


「なんかふたり……、お似合いだね♪」


クラスの女子がそう話しているのが聞こえた。


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