王子と秘密の甘い時間。


“お似合いだね♪”


何も知らない言葉が、心に突き刺さる。


グイッと誰かに引っ張られた。


「いいの?!」


麻奈が少し焦った様子で俺に言った。


「何が?」

「何がって……。」

「別に……。
婚約者といい感じなら、喜ばしいことなんじゃねぇの?」


俺は麻奈にそう答えた。


「……はぁー。」


麻奈のため息が聞こえる。

俺は、真っ直ぐ愛実を見つめていた。


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