王子と秘密の甘い時間。
「……ぁ。」
慧斗は、ソファーに横になって寝ていた。
「慧斗……。」
私はソファーの前にしゃがんで、慧斗の寝顔を拝見する。
長くてびっしり生えている睫毛。
茶色いさらさらな髪の毛。
高い鼻。
白くて、ニキビとは無縁な肌。
「……綺麗。」
綺麗すぎて、ムカつく。
神様ってほんと、不公平。
そんなことを思いながら、ふと壁にかかっている時計を見ると、丁度授業が終わる時間。
私は置き手紙を残して、起こさないように静かに慧斗の家を出た。