王子と秘密の甘い時間。


家を出ると、雪ちゃんからの着信。


「……もしもし雪ちゃん?」

“ぁ、佐野ちゃん、酷いよ、俺のメール返してくれないなんて……!!”


冗談っぽくそう言った雪ちゃんに、私は疑問がでた。


「雪ちゃん。」

“ん?”

「私、メールきてないよ?」

“いや、確かに送ったよ。エラーメールこなかったもん。”

「……そぅ。ごめんね。」

“ま、いーよいーよ。っていうか、一緒に帰らねぇ?”


その誘いに、昼休みのことが頭をよぎる。


「あー……、」

“ぁ、嫌だったら別にいいけど……。”

「ぅん。一緒に帰ろ?」


私はそう答えて、生徒玄関に向かった。


< 209 / 285 >

この作品をシェア

pagetop