王子と秘密の甘い時間。


ガチャ。


ギュッ……。

いつもと変わらず、後ろから抱き締めてくれる慧斗。


「若林まじムカつく。」


耳元で聞こえる声は、
若林さんに対してのご機嫌斜めの声。


「……。」


私は黙っている。


「愛実……、やっと話せる。」


そのまえに。と、慧斗は、私の肩口に顔をうずめた。





慧斗の甘い香りがする……。

私の鼓動が速くなっていく。


「ずっと……、」

「ずっと、会いたかった……ッ!!」


私は、慧斗の言葉を遮って、そう告げると、
私のお腹に回っている慧斗の逞しい腕をギュッと握った。


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