海までの距離
同じ高校生なら、私が男なら、ああいう都会の可愛い女子高生がいい。
なのに海影さんは、私なんかの相手をしている。
それとも、私の他にも“ご贔屓”がいるとしたら?
有磨さんはまだいい。有磨さんは私も大好きだし、海影さんともお似合いだし。
だけど、自分の全く知らないところで、自分の全く知らない女の子を気にかけてるとしたら?
…いや、余計なことを考えるのはやめよう。
電車の乗り換えを繰り返して、K大学を目指す。
今、目の前にあるK大は、1ヶ月前のそれに比べていやに威圧的だ。
すっかり落葉してしまった哀愁漂う樹木と、私と同じく受験生が出入りしている姿が見えるからだろうか。
そして今日は、海影さんがいないから…。
それでも、弱気になるもんか。
手首からブレスレットを外し、祈るように握って、そして私はスカートのポケットの中にそれを滑らした。











広いキャンパスの、面接会場までたどり着くのは非常に容易だった。
ライさんのお陰だ。
K大の学生はちらほら見かけたものの、建物は寡黙で。
受付を済ませ、待機の教室に入る。
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