海までの距離
あとはもう、じたばたせずに新潟に戻ろう。
「果報は寝て待て」って言うし。
私は校門に真っすぐ向かった。
雨はすっかり止んでいる。
またね、K大。
来年の春からは宜しくね。












新幹線の出発は18時過ぎ。
新潟・東京間のとんぼ返りは疲れる。
一人旅だから、どこかに寄ってから帰ろうなんて考えもなく、K大から東京駅に直行してしまった。
一息つきたいな…そう思って入った駅構内のカフェでアイスティーを飲んでいたら、電話がかかってきた。
表示されているのは番号のみで、私の電話帳には登録されていない。
何の考えもなしに通話ボタンを押してしまった途端、


『まーやー!』

「み、かげさん!?」


知らない番号からの電話に出たその先には、聞き慣れた温かい声がした。


「え、ちょっと何ですかこの番号!?」

『携帯の充電切れちゃったからさ、凪の携帯借りて電話してる』
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