海までの距離
二人もステージに立っていた時と同じ状態だ。
派手ガールと馴れ合っている様子から、もしや凪さんもミチさんと同じ人種なのでは…と疑ってしまう自分が哀しい。
凪さんとは今まで殆ど接触がないだけに、私の中では海影さんとはまた別の系統のクールビューティだと信じてやまなかったのに。


「凪、海影君はどこ?」


ライさんが凪さんに問い掛ける。


「海影君なら、奥でディレイの人と話してる」


私が海影さんと関係を持っていること、皆知ってるんだあ…。
色めいた間柄でもなんでもないってこと、ちゃんと皆分かってるのかな。


「んじゃ、行ってみよっか。今日はライターとして来てくれたんでしょ?桜、ちょっと待ってて」


ライさんが「おいで」と言わんばかりに狭い楽屋の奥へと踏み出した、その瞬間。


「あ、俺が連れてく。ライは桜が来てるんだし」


凪さんと目が合った。


「私はいいよ、凪」

「いーや、桜はゲストなんだから。ライと話してなって」
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