海までの距離
海影さんの人間性、人柄の良さは、誰からも評価されている。
そんな海影さんが信用した有磨さん。
海影さんは私を、「優香の友達」だからとあっさり受け入れた。
そして海影さんは私を「真耶なら大丈夫」と言ってくれる。
信用や信頼は全部、繋がっている。


「今日のレポートも、期待しています」


萩原さんがそう言ってくれた。


「有難うございます!」


思わず力が入った返事に、海影さんは「元気だなあ」なんて笑った。


「それでな、丁度萩原さんと相談していたところなんだけど、久住さん、2月のJIGSAWのライブレポートも書かないかって」

「…へ?」


海影さんの提案はあまりにスムーズすぎたが、私は話の内容が掴めない。
すると、萩原さんが、


「うちでフリーのライターとして、不定期だけど仕事をして欲しいの」


その柔和な表情を崩さず、そう言った。


「わわわわ私がですか!?」


飛躍した話に、私はつい吃ってしまった。
いや、だけどもこれが吃らずにいられるとでも?
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