海までの距離
恋情
ハーメルンの打ち上げには、メンバーとスタッフさんやローディさん以外に、私と桜さん、それに楽屋で見かけた3人のお姉さんがいた。
偶然なのか何が気を遣って貰ったのか、予約されていた打ち上げ会場の居酒屋は池袋。
これなら、ぎりぎりまでお店に居られる。
私はやっぱりジンジャーエールをオーダーし、海影さんはやっぱりオレンジジュースを飲んでいた。
あの時と違うのは、私と海影さんの間に有磨さんがいないということ。
狭い大衆居酒屋では、ちょっと身体を動かすだけで海影さんと私の肩がぶつかる。
その度に、私の胸は痛くなった。


「本当は、折角東京に来たからもっといい店に連れていってやりたかったんだけど…」


海影さんはこっそり耳打ちした。


「ここに呼んでいただけただけで十分嬉しいです」


そう、それだけで私は満足。
桜さんみたいにメンバー公認でライさんと付き合っているでもない。
< 165 / 201 >

この作品をシェア

pagetop