海までの距離
さっきのそれ以上に現実味はない。
期待しちゃ駄目だ。
そう分かっているのに、何故だか焦る。


『ええと…そうだな、うん、やっぱり新潟の次の大阪公演まで日があるから、一度東京に帰るんだ。帰りの運転はライに頼んで、俺は新幹線で真耶と一緒に東京に行こうか』

「そんなこと!」


「そんなこと、できるんですか?」、そう聞く前に、海影さんに言葉の続きを遮られた。


『約束しただろ、迎えに行くって』













「そっかー。もうすっかりライターさんじゃん」


要さんがわしゃわしゃと私の頭を撫でた。
JIGSAWのライブには、仲間が全員集合。
いつもは仕事で集まるのが遅くなる暁葉さんも、今日は京さんと一緒に早いうちからお目見え。


「先月のディレイ、読んだよ。私と暁葉が、真耶ちゃんの最初のファンだね!」

「ファンだなんて、そんな滅相もない!」


謙遜してみたものの、京さんが嬉しそうに言ってくれる、それが嬉しい。


「でも、うちらみたいなファンと一緒にいていいの?真耶ちゃん、関係者でしょ?」


心配そうにしているのはレナさん。
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