From Y
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 ブログをコピーして貼り付け、まとまりのある文章にする。そんなやり方で出来上がった原稿を、僕は学校誌に応募した。短編にしては長すぎる量になってしまったが、果たして載るだろうか。
 去年の三月。卒業式の後、ねこ先輩からメールが来た。
 タイトルは、「我が儘な先輩より」。
『作家志望って言ってた来夏を見込んで、お願いがあります。
 私が死んだら、羊さんと私の物語を書いてもらえないでしょうか?
 脚色や応募はご自由にどうぞ』
 一番下には、ねこ先輩のブログのURLと、閲覧に必要なパスワードが添えられていた。

 なんて勝手な人なんだ。僕はまだねこ先輩のことを忘れられないというのに。自分以外の男との恋を文章にしろだなんて、残酷にも程があるだろう。メールを読んだ当初はそう思った。しかし、数日後には好奇心に負けてブログを見に行った。
 読んで、自分の身勝手さを知った。牧野さんの懐の深さも。ねこ先輩が僕に別れを告げた理由がわかって、ディスプレイの前で号泣した。
 ねこ先輩は、卒業式の翌日から毎日欠かさずブログを更新していた。牧野さんの不眠が治まってきたことや、嗜眠を抑える薬があることを嬉しそうに語っていた。
 そして、ブログの最後はいつも同じだった。
 願わくは、明日も羊さんのいる朝に目覚めんことを。

 更新は六月の下旬で止まったまま、半年以上経った今も新着記事はない。


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