2番目の恋人
■1番目の恋人


「はぁ―…はぁ―…」



教室から逃げてきて着いたのは、結局いつものとこ……


どうしてもここに足が動いた……



図書室の本棚に凭れながら、座り込んだ。



泣くことはしなかった。


イヤ、泣けなかったんだ……


今泣いたら、皐にバレてしまうから……



――ガラッ


「莉緒……」



呼ばれた名前に、体が震えた。



「皐……」


そっと顔を上げると、心無しかホッとしたように息を吐いた皐。



「あのさ、莉緒…「あのねっ!!」


皐の言葉を割って入った。



「留学、頑張ってきてね!」


「……え」



言いたくもない言葉を、言ってしまった。



「莉緒、聞いてたのか?」



「っ……聞こえちゃった。」



わざと明るく言ったのは、あたしの強がり。



< 310 / 339 >

この作品をシェア

pagetop