2番目の恋人
「はぁ―…やっぱりこの時間帯は観覧車も混むな。」
やっとのことで乗れた観覧車。
「うん……そうだね。」
観覧車なんて、乗りたくなかった。
これを下りたら、海に行くんでしょ……?
海に行って、お別れするんでしょ?
「くしゅっ」
寒い……
「莉緒……」
「ん……えっ?」
向かい合って乗っていたのに、皐があたしの横に座って肩を抱いてきた。
「いくら春先だからって、まだ夜は冷えるよな。」
そう言って、抱きしめられる体。
皐の温かい体温が伝わってくる。
「なんかさ、莉緒を抱きしめてると、落ち着く」
「……え」
耳元で聞こえる声。
「いいよな。人の体温って……。温かくて、癒される……」
「……」
「そばにいるから、感じられるんだよな……」
「っ……」
そうだよ……
そばにいるから、愛しい温かさが感じられるんだよ……?
「もうすぐで頂上だな。」
この幸せな状態でいられるのもあと半分……
「莉緒……」
肩を優しく離され、ジッとあたしを見てくる。