2番目の恋人
不躾なお願いだと分かっている……
でも……
「僕は卒業と同時に留学をしたいと思ってます。」
「あぁ、後継ぎならそうかと思っていたよ。」
やっぱり……
だから、そんな心配そうな目で俺を見てるんだ……
「その留学に、莉緒さんもついてきてほしいと思ってます。」
「………」
お父さんは無言でただうつ向く。
当たり前か……
突然、大事な娘を留学先に連れていきたいって言ってるんだから……
でも、俺は本気で莉緒を連れていきたいって思ってるから……
「莉緒は……何て?」
「まだ、話していません。莉緒さんに話す前に、お父さんに了解を得ときたくて。」
「そうか………」
そしてまた沈黙。
莉緒がキッチンでお茶を準備している音が密かに聞こえる……