2番目の恋人
「莉緒は、きっと皐くんについていくと言うだろうな……」
「えっ……?」
口を開いたお父さんから、意外な言葉を言われた。
「皐くんの夢がきっと莉緒の夢なんだろう……」
「お父さん……」
「……ひとつ、約束してくれないかな?」
「約束……ですか?」
今まで下げていた視界を上げ、ジッと俺を見てきた。
「莉緒のことを大切にしてほしい。」
「……」
「甘やかしてくれと言ってるわけじゃないんだ。間違ってることなら間違っていると、はっきり言ってほしい。」
どこか寂しそうな瞳。
「ただ、莉緒が悲しんでる時や、嬉しい時はそばにいてほしいんだ。」
「っ……もちろんです。」
優しい父親の愛。
大事な娘だから、幸せになってほしいという思いが伝わってくる……
「そうか……ありがとう。」
『ありがとう』なんて、言われるほどじゃない。
「お礼を言われることをするわけじゃないです。ただ僕が、莉緒さんのそばに居たいんです……」
ただ、それだけなんです……
「ははっ、皐くんはイイ男だな。このまま莉緒のお婿さんになってほしいよ。」
「そうですね。どちらにしろ、莉緒さん以外僕はお嫁さんを貰う気はありませんから。」
そう言う俺に、もう一度だけ優しく微笑み返してくれた……