2番目の恋人
■2番目の彼女
「莉緒―っ。帰ろう」
「うんっ。ちょっと待って」
急いでバッグを持つ。
「今日はどこ寄って帰る?」
「ん―…どこでも。」
詩織が頭を傾げて悩む。
あの海に行ってから、1ヶ月以上が経とうとしていた。
あの日から皐には会っていない。
あれだけ騒がれるヤツだから、見かけることは見かけるんだけど……
お互い、話しかけたりはしない。
あの日が最初で最後だって、分かってたから……
最初の1週間はどうしてもあの教室に、図書室に向かってしまっていた。
少しだけ淡い期待を持ちながら……
でもそんな図書室のドアが開くことは、一度も無かった。
「なんか最近、莉緒変わったよね?」
「えっ?」
学校近くのカフェに入り、あたしはラテを、詩織はコーヒーを飲みながらそう言った。