ぼくらのハーモニー Ⅲ
♪ 第三楽章 火が踊る
1
夏休み初日は重い雰囲気に包まれていた。
部活。
コンクール練習だった。
「・・・。」
演奏した後、先生は黙り込んだ。
「へったくそ。」
やっと出た言葉がこれだった。
「こんなんじゃ、出る資格もないんじゃない?」
「・・・。」
「なんでこれだけ練習してるのに、コレしかできないの?!」
先生はそう吐き捨てて音楽室を出た。
・・・何がいけなかったの?
ノーミスだったじゃん。
ほとんどの生徒がそう思っていた。
でも、柚希にはその理由が分かっていた。
愛華もだった。
棒読み
の演奏だった。