ぼくらのハーモニー Ⅲ
5 yuta hara

「ハァ・・・。」


『音程ひとつ分からないのに!!!!!』


・・・俺なんなんだろう。

音程なんてたしかに分からない。

なんで分からないのかもわからない。

なんで、俺部長に選ばれた?

まとめるため?

技術があるから?

頼られてるから?

候補がいなかったから?

学年代表だったから?

なんで?

なんで?

俺、なんなんだよ。

音程・・・音感なんて管楽器ほどないよ。

これが普通なのか?

『原はぶちょうとしてよくやってるよ』

・・・あれは気を使ってくれたのか?

・・・に決まってるよな。

♪~

あ・・・涼太からだ。

「もしもし」

『よ。』

「おぅ。どうした?」

『こっちが聞きたいよ』

「え?」

『お前さ、いい加減にしとけよ』

「は?」

『お前だけじゃないんだよ。悩んでるの。』

え?

『誰もが悩んでるとき励ましてやるのがお前の仕事だろ!』

「・・・あ。」

『・・・俺、柚希から聞いたよ。』

「柚希が?」

『お前、どれだけ周りがお前に対してフォローしてるかちょっと考えた方がいいぞ』

電話越しから、柚希の声が聞こえた。

涼太ーこれ何?どうするの?

って聞こえた。
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