ぞうもつや
生きる価値
デブ、ブス、きもい
人格を無視した言葉。
自分を嫌いになる。
自分が悪いと思ってしまう。
私なんて生きる価値無いんだ。

「死んでしまいたい・・・・」

気がついたらマンションの屋上にいた。
上から下を見てみる。
柵を越えてみる。
目を閉じてみる。
「お母さんごめんね。」

涙が頬をつたう・・・
力が抜ける瞬間ふわりと私の手をつかんだ。

「あなた、誰!?」
びっくりしてそういうと

「ぞうもつやです」

「ぞうもつや?」

「はい。臓物屋です。もし私どもにあなたの命お譲りいただけるなら
悪いようにはいたしません。心臓300万円、
肝臓100万円腎臓100万円・・・すべての臓器を
買い取らせていただきます。」

「すべてって・・・それじゃ私死んじゃう!」

「・・・自殺されるんではなかったのですか?」

「・・・」

そうだ私この人が手をつかんでくれなかったら
落ちて死んでいたんだ・・・・馬鹿だな私。

「この世の悩みの99.9%はお金で解決できます。しかし残りの0.01%は
死を決意したあなたしかできないのです。
あなたの死を無駄にしないためにも、どうか私にお譲りいただけませんか?」

こんな私でも最後に人のためになるんだ。価値のある人間になれるんだ
必要とされているんだと思うとうれしかった。
必要とされることに飢えていたんだと思う。

「わかりました。おねがいします。」

「商談成立です。ではいきましょう。」

ぞうもつやさんの後をついていった。死を前にしているのになんだか
心は晴れ晴れしていた。 


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