ぞうもつや
カウントダウン
とても静かな時間。
テレビがあるのでつけてみた。
いつも見ていたドラマだ。
でも私に来週は来ない。
次回予告も必要なく天気予報も必要ない。
雑誌を見る。占いもダイエットも、明日がない
私にとっては不要なものだった。
お金も、食べるものも、着る物も
勉強も、友達も、悩みもみんなみんな
未来がある人のものなんだなとわかった。
明日がない経験なんてできる人は少ないだろうな。
死刑囚ぐらいか・・・・
不思議なくらい落ち着いている。
いじめていた友達に対しても不思議と憎む気持ちが
なかった。まるでつき物が落ちたように。
穏やかだった。こんな風にすごせたのは初めてかもしれない。
まどを開けて月を見た。すごくきれいだった。
星も空も澄んでいて冬の冷たい空気が心地よかった。
大きく深呼吸した。心臓の鼓動が早くなった。
「明日は誰かのものになるんだね。」
と心の中でつぶやいた。

眠れないと思ったが、とりあえずベットに横になる。
人は死ぬ前に昔のことを思い出すというが
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