私と彼の歩く道
「ちょっと。何で、ここに来るの?」
慌てて、郁斗の側へ駆け寄る。
「何でって、お前忘れ物したろ?」
そう言って、郁斗はゴミ箱を差し出した。
「あっ!?」
私ってば、戻る事に夢中で、ゴミ箱を忘れてたんだ。
「香織ってさ、天然?」
呆然としている私を見つめながら、郁斗は笑っている。
「別に、天然じゃないよ」
恥ずかしいのと、関わりたくないのと…。
そんな気持ちから、つい素っ気ない態度になってしまった。