私と彼の歩く道
郁斗は手を離すと、タオルで汗を拭いた。
細い割には、筋肉がついてるんだな…。
案外、たくましいんだ。
「何?」
「えっ?な、何でもない!」
ハッと我に返る。
もう、私ってば、何見とれてるのよ。
「知ってたよ~」
顔をそらした私を、郁斗は覗き込んだ。
「何を!?っていうか、近付かないでよ」
「ずっと見てたろ?」
耳元で、囁く様にそう言った。
図星過ぎて、返事も出来ない私に、追い打ちをかけるように、郁斗は続ける。
「オレさ、香織がいるから頑張った」