私と彼の歩く道


「うん…、言わない」


いつになく真剣な顔だったから、私も緊張してきちゃった。


ついさっきまで、流れていた険悪な雰囲気は、どこかに行ってしまったみたい。


「ちょっと、こっち」


郁斗に手を引っ張られ、屋上の端に連れて行かれる。


「人に聞かれると嫌だから」


そう言う郁斗の顔は、恥ずかしさを堪えているみたいだった。



「これ、オレが密かに目指してるもんなんだ」




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