私と彼の歩く道


「あ、茜音(あかね)…」


明らかに、郁斗が動揺しているのが分かる。


「もう!郁斗が遅いから、探したよぉ」


そう言いながら、“茜音”は、郁斗の腕に頬を当てた。


なるほどね。


この茜音って子に、会う予定だったんだ。


「ねえ、この人誰?」



呆然とする私に、指をさした。


“この人”ってのは、なくない?


何て、感じの悪い言い方なの?


「あっ、彼女は…、その…」


ハッキリしない言い方に、イライラする。


「ただの同級生です!」


二人に向かって、言い放ってやった。




< 62 / 203 >

この作品をシェア

pagetop