私と彼の歩く道
「あ、茜音(あかね)…」
明らかに、郁斗が動揺しているのが分かる。
「もう!郁斗が遅いから、探したよぉ」
そう言いながら、“茜音”は、郁斗の腕に頬を当てた。
なるほどね。
この茜音って子に、会う予定だったんだ。
「ねえ、この人誰?」
呆然とする私に、指をさした。
“この人”ってのは、なくない?
何て、感じの悪い言い方なの?
「あっ、彼女は…、その…」
ハッキリしない言い方に、イライラする。
「ただの同級生です!」
二人に向かって、言い放ってやった。