ん、大好きだよ。




呆然と立ち尽くしていた私に、


颯はため息をついた。




「彼氏の目の前でナンパされてんなよ…」


「な、なんぱ…」




ナンパなんて、初めてだ。


でもさ、それって…


颯、私の彼氏に見えなかったんじゃないの(笑)?


雰囲気的に、保護者みたいだったしね。


でもあれは私が悪かったから、


"ごめんなさい"って謝ろうとした時に、



―――ぎゅっ




「へ?」


「危なっかしいから…それに手繋いでおけば、恋人みたいに見えるでしょ?」




颯は、ふんわりとした笑顔を見せながら


私の手を握った。




急に恥ずかしくなって何も言えなくなったけど、


そうしてくれる颯の気持ちが、温かくて、すごく嬉しかった。




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