ん、大好きだよ。
「……さむ…」
夜景を食い入るように見ていたひかりは、腕を擦りながら呟いた。
…そんな薄着してくるからでしょ。
全く、オシャレだけに気合い入れちゃって。
まあ、そんなところも可愛いんだけどね?
―――ぎゅ。
「んわ!?」
ひかりの後ろにまわって、細く震えた体を抱きしめた。
「ちょっ…//」
「ん、あったかい?」
「あったかいけど…っ//」
“離してほしい”と言ってるみたいに、腕の中でジタバタする。
俺はひかりの耳元に顔をよせて、
「…綺麗だな」
「……うん」
ひかりは抵抗をやめ、目線を俺と同じ方向にむけた。
ドクンドクン伝わってくる鼓動は俺の?
それとも…。
「…颯、苦しいよ」
「…ん」
「だいぶ温まったから…、大丈夫だって」
焦ったような、困ったような口調。
回していた腕を緩めて、その変わりに左手をひかりの右手に絡ませた。
ほんのり熱い、ひかりの体温。
…本当だ、あったかくなったね?
「…//」
照れながらも、ぎゅっと握り返してくれた。
ひかりの、ひとつひとつの行動が俺の心拍数を上げる。
ふと顔をあげればお互い目があって、
どちらともなく笑い合う。
あまりにも自然に優しく笑うものだから、また胸が高鳴る。
「…ひかり、好きだよ」
「ふふ、私も。ありがとう」
それから俺たちは、
淡く光る夜景に包まれながら、甘いキスをした。