記憶のパズル
「……わかった…」




今度は声は震えてなかった。


ちゃんとした、声だった。



早苗は、俺の横を通ってドアのほうに向かった。




「岡本さん」


「……」




屋上に背を向けたまま岡本を呼ぶ。


俺と早苗は背中合わせのままだ。



岡本は無言で俺たちのほうを向く。




「ごめんなさい」


「……うん」



岡本の返事を聞くと、早苗は屋上から去って行った。



一粒の涙を残して。








「岡崎さんは………」
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