下田の空[短編]
最終章
門前の階段で、呼び止められた。
「駅まで、ですよね?」
関西弁の、根強い訛り。相手は振り返るとうの前に分かっていた。
「そうですが、修平さん?」
母親が立ち帰って応じた。
「一緒に乗りましょ。ここからならタクシー代金も馬鹿にならんし」
母親はおし黙ったが、すぐにふう、と息を吐いて、
「…そうですね、そうしましょう」
そう言った。修平さんはにこりと笑って
「ほな、タクシー呼びますわ」
と言って携帯を掛けた。
修平さんは父親の妹の婿。血は繋がっていないが、私とは頻繁に出会う。というのも、私の学校と修平さんの会社とは至近な場所にあるのだ。関西出身ということもあり、修平さんの話は酒脱で面白く、私は話をするのが少し楽しみでもあった。
しかし、母親は違っていた。父親が亡くなった際、財産を巡ってひと悶着おこされたからだ。そんな訳で、タクシーが来るまで、私は二人の大人が沈黙する中、非常に肩身の狭い思いを強いられた。
「駅まで、ですよね?」
関西弁の、根強い訛り。相手は振り返るとうの前に分かっていた。
「そうですが、修平さん?」
母親が立ち帰って応じた。
「一緒に乗りましょ。ここからならタクシー代金も馬鹿にならんし」
母親はおし黙ったが、すぐにふう、と息を吐いて、
「…そうですね、そうしましょう」
そう言った。修平さんはにこりと笑って
「ほな、タクシー呼びますわ」
と言って携帯を掛けた。
修平さんは父親の妹の婿。血は繋がっていないが、私とは頻繁に出会う。というのも、私の学校と修平さんの会社とは至近な場所にあるのだ。関西出身ということもあり、修平さんの話は酒脱で面白く、私は話をするのが少し楽しみでもあった。
しかし、母親は違っていた。父親が亡くなった際、財産を巡ってひと悶着おこされたからだ。そんな訳で、タクシーが来るまで、私は二人の大人が沈黙する中、非常に肩身の狭い思いを強いられた。