近くに居るのに。
「大丈夫だよ。しかも中津さんには好きな人が居るんでしょ……早瀬さん」
「……うん」
うちは俯いた。
男はははっと笑った。
「俺、中津さんのこと襲ったりなんかしないから!嫌われるくらいなら襲ったりなんか嫌だっ」
「ありがとう。えっと…」
うちは名前を知らなかったから名前を呼べなかった。
「俺は桐島真琴…」
「真琴くんか!」
「俺、波瑠に利用されてた。中津さんを襲えば好きになってもらえるって…」
真琴くんはセーターの袖を掴んで涙堪えてた。