近くに居るのに。
●STAGE3●
**苦しい恋心。
ーーーひよりside
めくり返した写真には金髪でゆるいパーマがかかった女の子がしんと手を繋いでいる写真。
何これ。誰これ。
「誰………」
うちは瞬きを忘れるくらい止まってしまった。
「ひより、お待た……せ…」
しんの喋る速度がどんどん遅くなった。
―バシ!
写真を物凄い勢いで奪われた。
「忘れろ…」
「誰なの?それ…」
「いとこだ。忘れろ」
嘘だ。
「ごめん。帰って…」
うちはしんをドアまで押した。
「は?」
「早く帰ってよ!」