きっと私の身体はジェリービーンズでできている。
そんな俺を


親父は力強く
抱き寄せた


そんなことは
…はじめてで

息が止まった


「これからは
何かあったら俺に話せ

…わかったな」



耳元で話す
無骨だけれど優しい声


しっかりとくっついた
親父の身体からは


俺に負けないくらいの
鼓動が聞こえていた


その時
親父は確かに
俺を
愛していた



親父は

俺の背中にまわした手で



あやすように

トントンと叩いた



それを合図のようにして


胸の奥から熱いものがこみあげて

俺の両目から
涙があふれ


嗚咽がもれるほど


ごうごうと
泣いた




俺はずっと…
親父に
こうして欲しかったんだって


痛いほど
理解した



シャツで
隠された


あのヒトの
噛み跡だらけの身体


傷に
その涙がしみた時



俺は


この家を


出て行くことに
決めた


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