きっと私の身体はジェリービーンズでできている。
9・恋の代償

俺が家を出てから



毎日のように

あのヒトが夢に出た


俺を探している


何となく
本能で感じる


昔から
他人の感情を
シンクロしやすい
体質の俺には


よくあることだった



大丈夫


親父には
家を出ることは
話してきたけど


この場所がわかるような物は


残していない


食欲もなく

あまり眠れず

俺は毎日
窓から月を見上げてた


…このまま全て
なくしてしまっても


かまわないから


あのヒトの中から

俺の跡を



消して…



その方が
サチはきっと幸せに
なれる


そう

俺は思っていた



「…大丈夫ですか?」



唐突にかけられる



女の声


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