きっと私の身体はジェリービーンズでできている。
俺は答えず

沈黙が流れた


そうすれば
普通の人なら
あきれて去っていく


俺はそうやって
今まで自分の元から

あきれ顔で去っていく人達を


何人も見てきた



あの親父だって
昔は俺の返事を


待とうとはしなかった


いつも
ひとりだったから

人との関わりが
苦手だったんだ


だけど



彼女はちがった


俺の答えるのを
微笑んで待っていた


ゆっくりで
いいよって



言ってくれているようだった


うながされるように
俺は


口を開く


「…何も口にしてなくて」


そう言うと


彼女は
嬉しそうに笑った


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