きっと私の身体はジェリービーンズでできている。
「さっき作ったの
よかったらどうぞ」


よかったらって…

このシチュエーションは
食べるの前提だし…


そう思ったけど


スプーンで
ひとさじすくって
口にした


あ、美味い


食欲がなかったはずが


気がつくと
もう半分くらい
なくなっている


ふと
見ると


彼女はクスクス
笑ってた


「おなか、すいてたんだね
美味しい?」


そう聞かれて

素直じゃない俺は


「…ふつう」


と答えた


何だか恥ずかしくて
どんぶりを抱えて
部屋の中へ
戻ろうとする…俺


「あ、どんぶりは
部屋の前に置いてくれたらいいから!」


俺の背中に

彼女の声が
降る


思わず足が止まる



自分の手に伝わる
シチューのどんぶりの


…あたたかさ


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