きっと私の身体はジェリービーンズでできている。
2・もうひとりの隣人
猫は
なんでジェリービーンズをまいたのか
聞いた私に
「アンタ、俺の一言で
青くなったり
赤くなったり
ジェリービーンズみたいだから」
真顔でそう
答えた
「…ジェリービーンズ?」
ど…
どういう意味?
「ジェリービーンズみたいに可愛いって
言ってんだけど?」
猫が私の顔を
のぞきこむ
無表情の
顔が近い
長いまつ毛
整った顔立ち
たるんだTシャツの
首元から見える
鎖骨
「…顔赤いけど。
もしかして期待してる?」
猫が鼻をならして
ニヤリとする
私は慌てて立ち上がる
「期待なんて、してません!」
そうかな。
そう言って
膝についた土を払って立ち上がった猫の
冷たい瞳
「…そうやって男の胸元見てると
襲われちゃうよ」
「…っ」
気付かれてた
気をつけなよ
ジェリービーンズ、
と後ろ手に
ヒラヒラ手を降りながら
アパートの階段を
戻っていった