きっと私の身体はジェリービーンズでできている。
背広さんにも

名前があるのだけど


猫が
「背広くんがさ…」

などと
言うもんだから


いつの間にか
背広さん、という
呼び名になった


「いつものコレ?」


背広さんが
私の好きな
あたりめの袋を
ヒラヒラさせて

私のカゴに
入れてくれる


そんな仕草も
様になる


「ありがとうございます」

今日の背広さんは
ストライプの入ったスーツを

パリッと着こなしていてモデルみたいだった


どうしていいかわからなくて


足早にコンビニを出ると


後ろから背広さんが追いかけてくる


「せっかくだから
一緒に帰ろうよ」


こんな人が少しの間でも隣を歩いてくれると
思うと

私は
少し
嬉しくなった


すれ違う女の人が
背広さんを見てる

背広さんに
小さく
「はい」と言って
微笑んだつもりだけど


私、顔が強張ってるにちがいない


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