きっと私の身体はジェリービーンズでできている。
「今日は?何?」


少し黙った私を
背広さんは
優しく促す


「猫は女の子を
部屋に呼んでると思うので。
行き詰まってる日は
いつもそうみたいです」

「…そっか」


背広さんは
それ以上茶化して
こない様子だった


優しい人だな
と思った時
背広さんは言った


「じゃあ、猫君のモノ、ってわけじゃないんだ」

え、
思わず顔を見ると


少し熱っぽい瞳と
出会う


「今日、僕と
飲まない?」


背広さんは
王子様みたいに


ふんわりと笑って
私に手を差し出す


この人は
私がYESと言う事を

もう
わかってる

ズルいんだ…


「お相手を
して頂けますか?

…プリンセス?」


プリンセスって…

胸が
トクッと
音をたてる


「はい」


私は背広さんの
綺麗な手に

自分の手を
重ねた


私だって
もう、子供じゃ
ないんだから


なんとなく
自分に
言い聞かせながら


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